【整形外科専門医が解説】ふくらはぎの肉離れ(腓腹筋損傷)とは?原因・応急処置・治るまでの期間【熊本市東区】

突然ふくらはぎを叩かれたような衝撃…それは「肉離れ(筋損傷)」かもしれません

運動中に突然ふくらはぎへ強い痛みが走り、「後ろから誰かに蹴られた」「ボールが当たったと思った」というような衝撃を感じたことはありませんか。

このような症状は、ふくらはぎの肉離れ(腓腹筋損傷)である可能性があります。

一般的には「肉離れ」と呼ばれていますが、医学的には筋損傷(Muscle Injury)と呼ばれます。

腓腹筋(ひふくきん)は、ふくらはぎの表面にある大きな筋肉で、歩く・走る・ジャンプするといった動作に重要な役割を担っています。ダッシュやジャンプ、急な方向転換などで筋肉が急激に引き伸ばされると、筋線維が損傷して肉離れを起こします。

「ブチッ」という音がした、歩けないほど痛いという場合は、無理に動かしたり、自己判断でマッサージやストレッチをしたりすると、損傷を悪化させる恐れがあります。

この記事では、肉離れの原因や症状、応急処置、整形外科での診断・治療、スポーツ復帰までについて分かりやすく解説します。


腓腹筋肉離れが起こる原因

腓腹筋肉離れは、筋肉が力を入れて収縮している状態で急激に引き伸ばされる「伸張性収縮」によって起こります。

特に次のような場面で多くみられます。

スポーツ中

  • ダッシュやスプリントのスタート
  • ジャンプの踏み切り・着地
  • 急停止や方向転換
  • テニス・バドミントン・サッカーなどの切り返し動作
  • ウォーミングアップ不足での運動開始

日常生活

  • 階段を急いで上る・下りる
  • 急いで走り出したとき
  • 久しぶりに運動したとき

さらに、

  • 加齢による筋肉の柔軟性低下
  • 筋力低下
  • 筋疲労
  • ウォーミングアップ不足
  • 水分不足

なども発症リスクを高めます。


肉離れの重症度(Ⅰ〜Ⅲ度)

肉離れは、診察所見やエコー(超音波)検査、必要に応じてMRI検査などを総合的に評価し、筋損傷の程度によって一般的に以下の3段階に分類されます。

重症度損傷の程度症状の目安
軽症筋線維の微細な損傷歩行可能。違和感や軽い痛みがある
中等症筋線維の部分断裂歩行時の痛みが強く、筋力低下や機能障害がある
重症筋繊維の完全断裂歩行困難。筋肉の陥凹(へこみ)を触れることがある

重症度によって治療方法やスポーツ復帰までの期間が大きく異なります。


こむら返りとの違い

ふくらはぎの痛みでは、「こむら返り(筋けいれん)」との違いも重要です。

こむら返り肉離れ
筋肉が一時的にけいれんしている状態筋線維が損傷している状態
数分〜数十分で改善することが多い数日〜数週間痛みが続く
筋肉の損傷はない筋肉の損傷がある
ストレッチで改善することが多いストレッチは悪化することがある

次のような症状があれば、肉離れを疑いましょう。

  • 「ブチッ」という断裂音を感じた
  • 押すと強く痛む場所がある
  • 腫れや内出血がある
  • 歩くのがつらい

このような場合は、早めの受診をおすすめします。


このような症状は早めに整形外科を受診しましょう

以下の症状がある場合は、自己判断せず整形外科を受診してください。

  • 「ブチッ」という音がした
  • 歩けない、または足を着くと強く痛む
  • 腫れや内出血が目立つ
  • 数日経っても改善しない
  • スポーツへの早期復帰を希望している

早期に正確な診断を受けることで、適切な治療と再発予防につながります。


発症直後に行うべき応急処置(POLICE処置)

以前はPRICE処置が広く知られていましたが、現在では早期から適切な負荷をかけるPOLICE処置が推奨されています。

  • P(Protection:保護)
     患部を保護し、損傷を広げないようにします。
  • OL(Optimal Loading:適切な負荷)
     痛みの程度に応じて、適切なタイミングで少しずつ負荷をかけます。
  • I(Ice:冷却)
     氷や保冷剤で15〜20分程度冷却します。
  • C(Compression:圧迫)
     弾性包帯やサポーターなどで軽く圧迫します。
  • E(Elevation:挙上)
     足を心臓より高くして腫れを抑えます。

やってはいけないこと

受傷直後は、

  • マッサージ
  • ストレッチ
  • 温める
  • 無理に歩く
  • 飲酒

は避けましょう。

これらは出血や損傷を広げ、治癒を遅らせる原因になります。


エコー(超音波)検査でその場で診断できます

当院では、まずエコー(超音波)検査を行い、筋線維の断裂や血腫(内出血)の有無、損傷範囲をその場で確認します。

エコー検査は、

  • 被ばくがない
  • リアルタイムで観察できる
  • 筋肉や腱を詳しく評価できる

という特徴があり、肉離れの診断に非常に有用です。


整形外科での治療とリハビリ

肉離れは、損傷の程度や回復状況に応じて段階的に治療を進めます。

急性期

受傷直後は、損傷部を保護しながら炎症や痛みを抑えることが大切です。

  • 安静
  • 冷却・圧迫・挙上
  • 必要に応じて松葉杖の使用

などを行い、患部への負担を軽減します。

当院では症状に応じて、超音波治療やマイクロカレント(微弱電流療法)などの物理療法を併用し、痛みの軽減や組織修復をサポートします。

回復期

痛みが落ち着いてきたら、理学療法士の指導のもとでリハビリテーションを開始します。

  • ストレッチ
  • 関節可動域訓練
  • 筋力トレーニング
  • バランストレーニング

などを行い、柔軟性や筋力を回復させます。

スポーツ復帰期

スポーツへの復帰は、「痛みがなくなった」だけでは十分ではありません。

筋力や柔軟性、ジャンプやダッシュ、切り返し動作などの競技特有の動きを確認しながら、

  • 歩行
  • ジョギング
  • ランニング
  • ダッシュ
  • ジャンプ

へと段階的に負荷を高め、安全な競技復帰を目指します。

肉離れは再発しやすい外傷の一つです。超音波治療やマイクロカレントなどの物理療法と、運動療法を適切に組み合わせることで、より円滑な回復と再発予防につながります。


治るまでの期間

回復期間は損傷の程度によって異なります。

重症度スポーツ復帰の目安
軽症約1〜2週間
中等症約3〜6週間
重症約2〜3か月

これはあくまで目安であり、痛みだけでなく筋力や柔軟性、競技動作の回復を確認したうえで復帰を判断することが重要です。


放置するとどうなる?

「歩けるから大丈夫」と自己判断して運動を続けると、

  • 再断裂
  • 慢性的な痛み
  • 筋力や柔軟性の低下
  • スポーツパフォーマンスの低下

につながることがあります。

肉離れは再発しやすい外傷の一つです。

痛みだけを基準に運動を再開すると、修復途中の筋線維が再び損傷し、以前より重症化することもあります。

再発予防のためには、最後までリハビリを継続することが大切です。


まとめ|肉離れは「しっかり治すこと」が再発予防につながります

ふくらはぎの肉離れは、正しい応急処置と適切な診断、そして段階的なリハビリによって、多くの方がスポーツや日常生活へ復帰できます。

一方で、自己判断によるマッサージやストレッチ、痛みが軽くなった段階での早すぎるスポーツ復帰は、再発の大きな原因になります。

「ブチッ」という音がした、歩けないほど痛い、腫れや内出血があるという場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

早期診断と適切な治療が、早期復帰への近道です。


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ながみね田村整形外科
熊本市東区 長嶺小学校前

ふくらはぎの肉離れやスポーツ外傷でお困りではありませんか。

当院では整形外科専門医が診察を行い、エコー(超音波)による正確な診断とリハビリテーションを組み合わせ、一人ひとりの症状に合わせた治療を行っています。

スポーツ復帰や再発予防までしっかりサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。