すねの内側の痛みはシンスプリント?疲労骨折との違いと整形外科での治療を専門医が解説
はじめに:その「すねの内側の痛み」、我慢して走り続けていませんか?
練習のたびにすねの内側がズキズキ痛む。
アップのうちは少し痛いけれど、走っているうちにマシになる。だから今日も黙って走った――。
そんなお子さんは少なくありません。
「休んだらレギュラーを外される」「根性が足りないと思われたくない」。そんな思いから痛みを隠して練習を続けているとしたら、それは非常に危険な状況です。
親御さんの立場から「うちの子がすねが痛いと言っているけれど、成長痛だろうか?病院に連れて行くべき?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
すねの内側の痛みを「成長痛」と考えて様子を見てしまうケースがありますが、多くはシンスプリントや疲労骨折など、正確な評価と治療が必要なスポーツ障害です。
特に成長期の選手では、放置することで疲労骨折へ進行し、長期間スポーツを休まなければならなくなることもあります。
シンスプリントとは?原因とメカニズム
正式名称は「過労性脛骨骨膜炎」
シンスプリントの正式名称は「過労性脛骨骨膜炎(かろうせいけいこつこつまくえん)」です。
すねの骨(脛骨)の表面を覆う「骨膜」が、繰り返しの負荷によって慢性的な炎症を起こした状態です。
なぜ骨膜が炎症を起こすのか
ふくらはぎには後脛骨筋やヒラメ筋などの筋肉が脛骨に付着しています。
走る・跳ぶ動作を繰り返すたびに、これらの筋肉が収縮・伸張し、脛骨の骨膜を繰り返し引っ張ります。
特に以下のような状況では、骨膜への負担が増大し炎症が起こりやすくなります。
- 練習量の急激な増加
- 硬い地面でのトレーニング
- ふくらはぎの筋肉の柔軟性低下
- 扁平足や足部アライメントの異常(足の過回内)
シンスプリントになりやすい競技・時期
- 陸上競技
- サッカー
- バスケットボール
- バレーボール
- 野球
など、走る・跳ぶ動作が多い競技でよくみられます。
また、
- 新学期
- 新チーム発足後
- 大会前
など、練習量が急増する時期にも発症しやすくなります。
放置すると危険!疲労骨折との違い
シンスプリントと疲労骨折は別の疾患です
シンスプリントとよく似た症状を起こすものに、脛骨疲労骨折があります。
疲労骨折は骨そのものにヒビが入った状態であり、治療方針が大きく異なります。
この2つを適切に鑑別することが、早期復帰への第一歩です。
| シンスプリント | 脛骨疲労骨折 | |
|---|---|---|
| 痛みの範囲 | すねの広い範囲 | 一点に限局 |
| 押したときの痛み | 広範囲に圧痛 | 一点を押すと強い痛み |
| 安静時の痛み | 少ない | あることが多い |
| ジャンプ時の痛み | 軽度 | 強い |
| 運動の継続 | 状態により可能 | 原則中止 |
レントゲンだけでは見落とされることがある
疲労骨折は初期段階ではレントゲンに異常が写らないことがあります。
「レントゲンで異常なし」と言われても、症状や診察所見によっては疲労骨折を疑う必要があります。
これが「レントゲンだけでは不十分」な理由です。
エコーで骨膜・骨表面の状態をリアルタイムに評価する
当院ではエコー(超音波)検査を活用し、
- 骨膜の肥厚(腫れ)
- 周囲組織の炎症
- 血流増加(カラードプラ評価)
- 骨表面の不整や骨膜反応
をリアルタイムで確認しています。
エコーは被ばくがなく、その場で左右を比較しながら評価できるため、成長期のスポーツ選手にも負担の少ない検査です。
診察所見とエコー所見を組み合わせることで、
「シンスプリントなのか、疲労骨折なのか」を可能な限り早期に鑑別し、必要に応じてMRI検査をご案内します。
当院の治療方針:「ただ休みましょう」では終わりません
シンスプリントは単なる炎症ではなく、体の使い方・足の機能・練習環境が複合的に関わっています。
そのため当院では、
「痛みを取る」だけでなく「再発を防ぐ」こと
を治療の柱に据えています。
① 活動量の適切なコントロール
まず重要なのは、「今の状態でどこまで運動してよいか」を正確に判断することです。
疲労骨折が否定されたシンスプリントであれば、症状に応じて競技を継続しながら治療を進められるケースもあります。
むやみに全ての運動を禁止するのではなく、
「今日は何をしてよくて、何を控えるべきか」
を具体的にお伝えします。
② 理学療法士によるリハビリテーション
当院の理学療法士が、シンスプリントの根本原因を個別に評価した上でリハビリを行います。
- 足関節・ふくらはぎの柔軟性改善
- 股関節機能の改善
- 体幹機能の改善
- ランニングフォーム指導
- 着地動作の改善
- 足部機能の評価
一時的に痛みを取るだけでなく、
「なぜシンスプリントになったのか」
を分析し、再発予防まで含めてサポートします。
③ 医療用インソール(足底板)治療
シンスプリントの選手には、扁平足や過回内足など足部アライメント異常を伴うことが少なくありません。
足のアーチが低下すると着地時の衝撃が増大し、脛骨への負担が大きくなります。
当院では、義肢装具士と連携し、一人ひとりの足に合わせたオーダーメイドの医療用インソール(足底板)を作製しています。
市販のインソールとは異なり、その選手の足の特徴に合わせて設計するため、
- すねへの負担軽減
- 再発予防
- スポーツパフォーマンスの維持
が期待できます。
親御さんへ:こんな症状があれば早めに受診を
以下のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
- すねの内側を押すと強く痛がる
- 2週間以上同じ場所が痛み続けている
- 練習前から痛みがある
- 安静にしていても痛みがある
- ジャンプで強い痛みが出る
- 腫れや熱感がある
- 痛みを隠して練習している様子がある
特に安静時痛や一点に限局した圧痛がある場合は、疲労骨折の可能性も考慮する必要があります。
「成長痛だから」と様子を見ている間に疲労骨折が進行するケースもあります。
早めの受診が、結果として競技への早期復帰につながります。
まとめ
シンスプリント(過労性脛骨骨膜炎)は、脛骨の骨膜への繰り返しの牽引ストレスによって生じるスポーツ障害です。
当院ではエコー検査で骨膜や骨表面の状態を評価し、シンスプリントと疲労骨折を鑑別した上で、理学療法士によるリハビリテーションや医療用インソールを組み合わせた治療を行っています。
- 「すねの内側が痛くて練習が不安」
- 「疲労骨折ではないか心配」
- 「できるだけ競技を続けながら治したい」
という方は、お気軽にご相談ください。
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ながみね田村整形外科
熊本市東区 長嶺小学校前
スポーツ整形外科・エコー診療・リハビリテーションに力を入れています。
成長期アスリートのシンスプリントや疲労骨折の診断・治療、医療用インソール(足底板)療法にも対応しています。部活動やスポーツを頑張るお子さんの足を、専門医と理学療法士が全力でサポートします。
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