膝のヒアルロン酸注射は「クセになる」?一時しのぎ?整形外科医が効果とステロイドとの違いを解説
膝の痛みで「ヒアルロン酸」をすすめられたことはありませんか?
膝の痛みで整形外科を受診すると、
「ヒアルロン酸の注射をしてみましょう」と言われることがあります。
しかし患者さんからは、次のような疑問をよくいただきます。
・ヒアルロン酸って一時しのぎじゃないの?
・一度打ったら、ずっと打ち続けなきゃいけないの?
・ステロイド注射とは何が違うの?
こうした疑問や不安を持つのは、とても自然なことです。
この記事では、変形性膝関節症に対するヒアルロン酸注射について、よくある誤解と実際の効果をできるだけわかりやすく解説します。
ヒアルロン酸注射とは? — 膝を守る「潤滑油」の補充
膝の関節の中には、もともと関節液という液体が存在しています。
この関節液にはヒアルロン酸が多く含まれており、次のような役割があります。
・関節の動きをなめらかにする(潤滑作用)
・衝撃を吸収する(クッション作用)
・軟骨を守る
しかし、変形性膝関節症が進むと、この関節液の質が低下してしまいます。
イメージとしては、車のエンジンオイルに似ています。
オイルが劣化する → 部品の摩耗が進む
関節液が劣化する → 軟骨に負担がかかり、痛みや炎症が起きやすくなる
そこで、関節内にヒアルロン酸を補充することで
・関節の動きをなめらかにする
・痛みを軽減する
・軟骨の摩耗を抑える
といった効果が期待できます。
膝の痛みの原因としてよくあるのが「膝に水がたまる状態」です。
▶ 膝に水がたまる原因についてはこちら
「クセになる」は本当? — 実はよくある誤解です
患者さんが特に心配されるのが、
「一度打つと、ずっと打ち続けなければいけないのでは?」
という点です。
結論からお伝えすると、ヒアルロン酸注射がクセになることはありません。
では、なぜそのようなイメージがあるのでしょうか。
理由はシンプルです。
変形性膝関節症は、加齢とともに少しずつ進行する病気だからです。
つまり
「注射をしたから悪くなる」のではなく
「病気の進行に合わせて治療を継続することがある」
ということです。
むしろヒアルロン酸注射には、
・関節の炎症を抑える
・軟骨の摩耗をやわらげる
といった働きがあり、膝への負担を軽くするための治療のひとつと考えられています。
ガイドラインでも推奨されている治療です
ヒアルロン酸注射は、日本整形外科学会の
「変形性膝関節症診療ガイドライン」にも掲載されている治療法です。
次のような効果が報告されています。
・膝の痛みを和らげる
・関節の動きをスムーズにする
・日常生活の動作を改善する
特に、初期〜中期の変形性膝関節症で
・歩くと痛い
・階段の上り下りがつらい
といった症状のある方では、効果を実感されるケースも多くあります。
もちろん、すべての方に同じように効くわけではありませんが、安全性が高く保存療法の基本となる治療のひとつです。
ステロイド注射との違いは?
ヒアルロン酸と混同されやすいのが、ステロイド注射です。
この2つは目的が異なります。
ヒアルロン酸注射とステロイド注射の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| ヒアルロン酸注射 | ステロイド注射 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 関節を潤す・軟骨を守る | 強い炎症や腫れを抑える |
| 使用タイミング | 慢性的な膝の痛み | 炎症が強い急性期 |
| 効果の出方 | 比較的ゆっくり | 比較的早い |
| 使用頻度 | 継続的に使用可能 | 頻繁な使用は注意が必要 |
普段の膝の痛み → ヒアルロン酸注射
炎症が強く腫れている → ステロイド注射
このように、膝の状態に応じて使い分けることが大切です。
注射だけで治らない場合は? — 治療のステップ
膝の痛みの治療は、注射だけで完結するわけではありません。
大切なのは、膝にかかる負担を根本から減らすことです。
特に重要なのが運動療法(リハビリ)です。
一般的には、次のようなステップで治療を行います。
ステップ1 保存療法
・運動療法(リハビリ)
・ヒアルロン酸注射
・体重コントロール
・サポーターなど
ステップ2 保存療法を行っても痛みが続く場合
・クーリーフ(COOLIEF)などの新しい治療
▶クーリーフ(ラジオ波治療)について詳しくはこちら
※手術を避けたい方や、注射だけでは痛みが十分改善しない場合の選択肢になります。
ステップ3 重度の場合
・人工膝関節置換術や骨切り術などの手術療法
当院では、患者さんの状態に合わせて段階的な治療をご提案しています。
まとめ — 痛みを我慢せず、まずはご相談ください
「一時しのぎ」
「クセになる」
といったイメージを持たれがちなヒアルロン酸注射ですが、実際には多くの患者さんに行われている安全性の高い治療です。
変形性膝関節症では、
「痛みを我慢して動かなくなること」が、かえって症状の悪化につながることもあります。
膝の痛みが続く場合は、「年のせい」とあきらめず、どうぞお気軽にご相談ください。
ながみね田村整形外科
熊本市東区 長嶺小学校前
膝の痛みや変形性膝関節症に対して、
ヒアルロン酸注射・リハビリテーションなどの保存療法を行っています。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。