肘の外側が痛い|テニス肘の原因と治療法

ドアノブを回すだけで、肘がズキッ――その痛み、放置していませんか?

物を持ち上げた瞬間、あるいはドアノブを回すときに「肘の外側」に鋭い痛みが走る。
雑巾を絞ろうとすると、思わず手を止めてしまう。

そんな経験はありませんか?

実は、この痛みの原因として多いのが、「外側上顆炎(がいそくじょうかえん)」、いわゆるテニス肘です。

名前に「テニス」とありますが、テニスをしている方だけの病気ではありません。

以下のような方にも多くみられます。

  • パソコン作業やマウス操作が多いデスクワーカー
  • 料理・洗濯・掃除などで手首をよく使う方
  • 抱っこや家事で前腕を酷使している方
  • 美容師・調理師・大工など手作業の多い職業の方

テニスをしたことがなくても、日常生活や仕事の積み重ねによって発症することがあります。


なぜ「肘の外側」が痛むのか?

手首の使いすぎが肘に負担をかけています

肘の外側にある骨の出っ張り(外側上顆)には、「手首を反らせる(背屈させる)」働きをする筋肉が集まって付着しています。

その代表が、短橈側手根伸筋(ECRB) と呼ばれる筋肉です。

キーボード操作、マウス操作、荷物を持つ動作など、私たちは日常的にこの筋肉を使っています。

こうした負担が繰り返されることで、筋肉が骨に付着する部分(腱付着部)に小さな傷や変性が蓄積し、痛みが生じます。

これは一度の大きなケガではなく、繰り返しの負担によって起こる「慢性的なオーバーユース障害」です。

初期は軽い違和感だけでも、

  • ペットボトルを持つ
  • フライパンを持ち上げる
  • タオルを絞る
  • パソコンのマウスを使う

といった日常動作で痛みが強くなることがあります。


「レントゲンで異常なし」と言われても、痛みの原因は存在します

整形外科でレントゲン検査を受け、

「骨には異常ありません」
「湿布で様子をみましょう」

と言われた経験がある方も多いと思います。

しかし、これは必ずしも「問題なし」という意味ではありません。

レントゲンは骨を見る検査です。
一方で、テニス肘で実際に傷んでいるのは、骨ではなく腱(けん)です。

腱や筋肉はレントゲンには写りません。

つまり、

「レントゲン異常なし=痛みの原因なし」ではなく、腱や筋肉に原因がある可能性が高い

ということです。

湿布や安静だけで改善しない場合は、腱そのものを評価する検査が重要になります。


エコー(超音波)検査で、痛みの原因をリアルタイムに可視化する

当院では、肘の痛みに対してエコー(超音波)検査を積極的に行っています。

エコーでは、レントゲンでは見えない

  • 筋肉
  • 神経
  • 血流

などをリアルタイムで観察できます。

テニス肘の診断において、エコーは非常に有用な検査です。


エコーで確認できる「痛みの正体」

① 腱の肥厚や変性

正常な腱は、きれいな線維構造をしています。

しかしテニス肘では、

  • 腱が厚く腫れている
  • 線維構造が乱れている
  • 一部に小さな断裂がみられる

といった変化を確認できることがあります。


② 異常な血流の増加

慢性的な炎症が続くと、本来あまり血流がない腱の内部に、異常な細い血管が増えることがあります。

エコーのドップラー機能を用いることで、この異常な血流を確認できる場合があります。


エコー診断の大きなメリット

エコーを使うことで、

  • どこが傷んでいるのか
  • どの部分に炎症があるのか
  • どこに治療を行うべきか

をリアルタイムで確認できます。

「見えない痛み」を画像として共有できることで、患者さん自身も状態を理解しやすくなります。

また、注射治療の精度向上にもつながります。


当院の治療

湿布だけで終わらせない、状態に合わせた治療をご提案します

エコーで状態を正確に評価したうえで、患者さん一人ひとりに合わせて治療を組み合わせます。


1.エコーガイド下プロロセラピー

プロロセラピーは、傷んだ腱や靭帯に対して注射を行い、組織修復を促すことを目的とした治療です。

慢性化したテニス肘では、単なる炎症だけでなく、腱の変性が関与していることがあります。

エコーで患部を確認しながら注射を行うことで、より正確に治療部位へアプローチすることができます。


2.動注療法

慢性的な痛みが長引いている場合、局所の血流や炎症環境が関係していることがあります。

当院では、状態に応じて動注療法をご提案することがあります。

症状の経過や痛みの性質を丁寧に評価しながら、適応を判断しています。


3.ステロイド注射

炎症が強く、日常生活に支障が大きい場合には、ステロイド注射を選択することがあります。

痛みを短期間で和らげる効果が期待できますが、繰り返し注射が適しているとは限らないため、状態を見ながら慎重に適応を判断します。


4.拡散型衝撃波治療

なかなか改善しない慢性的なテニス肘に対して、拡散型衝撃波治療を行っています。

衝撃波による刺激を加えることで、

  • 組織修復の促進
  • 血流改善
  • 慢性疼痛の改善

などが期待されます。

特に、

  • 長期間痛みが続いている方
  • 湿布や内服で改善しない方
  • 繰り返し再発している方

では、治療選択肢のひとつになります。


5.理学療法士によるリハビリテーション

当院では、注射だけでなく、リハビリテーションも重視しています。

テニス肘では、「肘に負担が集中しやすい体の使い方」が背景にあることが少なくありません。

そのため、

  • 肩甲骨まわりの柔軟性改善
  • 前腕や手首への負担軽減
  • 体幹の使い方の改善
  • 動作フォームの見直し

などを行い、再発しにくい状態を目指します。


テニス肘は「年齢のせい」だけではありません

テニス肘は40〜60代に多い疾患ですが、単なる加齢だけが原因ではありません。

  • 前腕への繰り返し負荷
  • 肩や体幹の使い方
  • 手首に頼りすぎる動作習慣

など、日常生活や仕事動作の積み重ねが関係しています。

そのため、

「湿布だけ」
「安静だけ」

では改善しきれないケースも少なくありません。

原因を正確に評価し、負担のかかり方まで見直すことが重要です。


まとめ|「レントゲン異常なし」の肘の痛みこそ、エコー評価が重要です

テニス肘は、早期であれば適切な治療とセルフケアによって改善が期待できる疾患です。

一方で、我慢して使い続けることで慢性化し、回復に時間がかかることもあります。

  • 肘の外側が痛い
  • レントゲンでは異常なしと言われた
  • 湿布だけでは改善しない
  • 物を持つ・絞る・握る動作がつらい

そんな方は、一度エコー検査で腱の状態を確認してみることをおすすめします。

「なぜ痛いのか」が分かることが、改善への第一歩になります。

お気軽にご相談ください。


ながみね田村整形外科
熊本市東区 長嶺小学校前

肘の外側の痛み(テニス肘)でお悩みの方へ。

当院では、エコー(超音波)を用いて腱の状態を詳しく評価し、リハビリテーション・エコーガイド下注射・拡散型衝撃波治療などを組み合わせ、一人ひとりの症状に合わせた治療を行っています。